NPO法人全国通信制高等学校評価機構
理事長 日永 龍彦
(山梨大学 大学教育・DX推進センター教授)
本機構は、通信制の高校教育に関する評価や調査研究を通して、通信制高校全体の教育の質の確保・向上を図ることを目的として2019(令和元)年に設立され、翌年4月から特定非営利活動法人(NPO)として本格的な活動を開始しました。
近年、通信制高校とそこで学ぶ生徒の数は増加を続け、いまや高校生の1割が通信制高校で学ぶ時代になりました。しかも、働きながら学ぶ生徒よりも中学校を卒業してそのまま入学してくる生徒が圧倒的に多くなっています。このことは、これまでの高校とは異なる多様な学びの場を求める生徒が増加していることをも意味します。
このように生徒たちのニーズが非常に多様化していることもあり、今日の日本の高校はそれぞれのミッションにしたがって高校教育を実施していくことが期待されています。とりわけ、通信添削と対面授業という伝統的な手法を活かしつつ、多様な情報通信技術を活用し教育活動を展開する通信制高校の教育は、今や全日制・定時制の高校を先導する立場に立たされているとも言えます。しかしながら、個々の学校が掲げるミッションそのものは、学校教育法その他の法令が定める高校の目的や目標と整合的であるべきことは言うまでもありません。通信制高校においてもそれはかわりません。
それだけに、各校の多様性を尊重しながらも、わたしたちが高等学校教育とは何かを問い続け、それに相応しい教育活動を通信制高校が展開できるよう、各校が行う自己評価活動を支え、自己改善能力を高めるような活動を展開していくことは、通信制高校全体の質の向上につながる重要な取り組みになりうると思います。
本機構では、その前身である通信制高等学校評価研究会が文部科学省の「高等学校通信教育の質の確保・向上のためのガイドライン」の策定・改訂に尽力してきました。そして、この活動を踏まえ、本機構は、同ガイドラインに沿って第三者評価を実施し、法令を遵守しながらミッションの実現に向けて自己改善に取り組む学校であることを認定する制度の運用を行っています。また、ガイドラインに関する質問や、学校の運営に関わる相談に応じるとともに、様々な研修会への講師派遣も行っています。日本の通信制高校全体の教育の質向上を目指して通信制高校に関係する多くの皆様とともに議論検討を重ね、試行錯誤し、着実に前進していくことができればと考えています。 皆様のご入会を心からお待ちしています。